昔、猛烈にのめり込み、小口が手垢で汚れるくらい繰り返し読んだ本がある。
『夜明けのヴァンパイア』(映画化名『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』)
アン・ライス著、田村隆一訳のこの本を最初に手に取ったのは確か中学3年生
の頃だったと思うが、ゴシックとか退廃的とかいう言葉を知ったばかりだった
当時、まんまとその世界観にやられてしまい、いまだにやられたままでいる。
吸血鬼とか永遠の命とか不死とか、聖とか邪とか、目に入るとついセンサー
が反応してしまう。わりと最近反応したのは、
『図書館司書と不死の猫』リン・トラス著 である。
死ぬたびに生き返る数奇な半生を送ってきた猫は語る。彼を導いた猫、
キャプテンの存在。キャプテンに連れられてのヨーロッパ大陸巡遊旅行
(グランド・ツアー)、そしてキャプテンとの別れ―あ、『インタビュー・
ウィズ・ヴァンパイア』だ。
でも、なんかおかしい。ホラーなのに、おかしいポイントが随所にちりばめ
られている。起こっている事件は暴力的で救いがないのに、おかしみが凌駕
してしまい、えもいわれぬヘンテコな味わいの小説だった。
もちろん、『夜明けのヴァンパイア』の隣に大事に差し込んである。